Chat Noir -バイオハザー度Max-




「倭人」


数メートル離れた場所で黒猫の名前を呼んで手を振ると、黒猫はぱっと顔をあげた。


あれ??いつも通り…


「お疲れ」と軽く手を上げると黒猫はちょっとはにかんだようないつもの笑顔。


「うん、お疲れさま。あんたは?今日は掃除は??」


「雨だから中止」


黒猫は雨空を指差して「雨に感謝」とまたもあどけない笑顔で笑う。




「急に呼び出してごめんな。


なんか―――…会いたくなっちゃって」




会いたくなっちゃって…


なんて良い響きなんだ!


いつもはそっけないネコなのに、急に擦り寄られると、やっぱりどうしようもなく可愛いし。


そんな可愛い黒猫に私もいつになく素直。


「いいよ。私も会いたかったし。


お茶でもする?それともあんたんち?」


「今日、親父居るけど俺んちでいい?飯食ってけよ」


黒猫がご機嫌に聞いてきて、私は頷いた。


正直お父様と三人でお食事とか、まだ緊張するけど。


しっかり良い印象を植え付けなければ!





みけネコお父様が今日お店の定休日だと言う事を知っていた。


予めおうちに居ることも聞いてたし…


でも


「いらっしゃい、朝都ちゃん。待ってたのよ」


と、出迎えてくれたのは


みけネコお父様の婚約者、ペルシャ砂糖さんだった。