トラネコくんは大きな目をさらに開いて、
「へ?まだ…?」
と、思わず失笑を浮かべたけど、慌てて口元を覆う。
何だよ、その反応は。
でもトラネコくんは堪えきれないように
「何だよ、あいつ。まだかよ」
とププっと笑いを漏らしている。
「な、何よ!
いいでしょ!そんなことどーでも!
てか今は関係ないでしょ」
とちょっと目を吊り上げて睨むも、その睨みに動じずトラネコくんはおかしそうに笑っている。
「悪いとは言ってないよー。
てか倭人ってば、アサちゃんのこと相当マジなんだな」
そうにこにこ聞かれて今度は私の方が目をぱちぱち。
でもそんな私の耳元にそっと顔を寄せると、トラネコくんは私の耳元で内緒話をするかのように
「あいつ、割りと手が早い方だよー。
アサちゃんも早く食われちゃえ」
な…食われるとな!
私が目を丸めていると、
「あいつは情が深いヤツだからさ、一旦最後まですると益々愛情が深まるタイプ。
葵ちゃんのときがそーだった」
ケケケと何気なく笑ってるけど、
やっぱり―――黒猫は
はじめてじゃないんだ。
私じゃない女の子とキスして肌に触れて、体温を共有して―――
ちょっと想像するとツキンと胸の奥が小さな痛みを発した。



