トラネコくんの片想い……かぁ。切ないなぁ。
「でも何で倭人なんだよー?俺の方が果凛に優しいし、
倭人なんてそっけないし冷たいし、優しくないよ?」
とトラネコくんはテーブルに突っ伏して聞いてくる。
まるで解けない数式を前にしているかのように難しい顔。
トラネコくんより黒猫の方が良い理由かぁ…
そんなの簡単。
「キミは誠実じゃないからでしょう?女の子と遊んでばかりで軽いからだよ」
私がはっきりきっぱり言ってやると、
「だってぇ、みんな可愛いんだもん」とトラネコくんは唇を尖らせる。
この女殺しめ…
「あのねぇ、普通は好きな人が出来たらその人が一番可愛く見えるの」
「アサちゃんも可愛いしー。てことは俺、アサちゃんも恋愛対象で好きってこと??」
逆にそう返されて私は「う゛ーん」と額を押さえて唸った。
普通に聞いてりゃ、可愛いメンズにこんなこと言われてコロっといっちゃうかも、だけど。
「私、“一番”て言ったわよね?」
「アサちゃんは顔も性格も可愛いし♪自信もちなよ」
自信ないなんて言ってないけど…
てか今更気付いたケド…この子、会話が通じない??
でもなんか元気付けられてる??
「今日、葵ちゃんと会ったんでしょう?
倭人から聞いた」
急に話題を変えられて、私は目をまばたいた。
「……あ、うん。そう言えば…トラネコくんも葵ちゃんと同じ中学だったんだよね」
思わず俯いてマグカップを手で包むと、
「俺、アイツは…アイツだけは
可愛いと思えねんだわ」
トラネコくんはいつになく真剣な表情で私を見据えてきた。
それはいつもの冗談ではなく
本気の発言。



