「私、溝口さんと喧嘩してる最中だもん」
ぷいと涼子は顔を逸らして腕組み。
「喧嘩ですか?じゃぁ俺がその隙に~」とトラネコくんがちゃっかり言って涼子に忍び寄る。
「トラネコくんはカリンちゃんが好きなんでしょ?
そんなに気が多いとカリンちゃんに嫌われるよ?」
あたしがちょっとトラネコくんを睨むと、
「そ、そのことで…アサちゃんにお話しが…」とトラネコくんはもじもじと言葉を濁らせる。
「涼子さん!」
と一方では溝口さんが。
ここはネコのたまり場じゃなくて、恋の相談所かっての。
結局、まだプリプリしている涼子を溝口さんに引き渡し、私はトラネコくんを近くのカフェにご案内。
すっかり相談所と化しているカフェでいつものコーヒータイムだ。
「んで?話って何?」
せっかちに聞くと、
「アサちゃんて見た目に寄らず短気?」とトラネコくんが目を上げる。
「私は見たまんまよ。マウスの相手で忙しいの」
はっきり言ってやると、
「おもしれー♪」とトラネコくんは人懐っこい笑みを浮かべる。
「あのねぇ…」
言いかけると、
「あのサ…果凛のことだけどさ、俺の気持ち…倭人には黙っててくれない?」
トラネコくんは僅かに俯いて視線を泳がせた。
「別に…言うつもりもないわよ」
そっけなく答えるとトラネコくんは安心したように大きく頷いて、
「なんか…ごめんね?」と上目遣い。
「いいケド、何で隠すの?親友でしょ?」
「親友だけど、好きな相手も親友…てか幼馴染だから。なんかフクザツ…」
「てか、やっぱりカリンちゃんが好きなんだね」
とうとう認めたか、と満足顔で頷いていると、
「まぁねー…人に言われたら思い当たることが節々」とトラネコくんは苦笑いであさっての方を見る。
「でも果凛は―――…倭人が好きなんだ」
と遠い目。



