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「黒猫くんの元カノ!?」
例のごとく…てか今度は私が涼子の研究室に駆け込んだ。
研究室には涼子とその他数人の研究生がいたけれど、みんな私たちの話に興味なさそうに黙々と手を動かせている。
涼子は朝顔の鉢植えを手にして、それを電子顕微鏡まで運ぼうとしていたところだったけれど、思わず鉢植えを取り落としそうになって慌てて支えた。
「まぁ可愛いからモテそうだしねー、元カノの一人や二人居るわよね」
「一人。可愛いのは顔だけ。黒猫はモテないよ、女の子に冷たいから」
黒猫が聞いてたら怒られそうだ。
「まぁ前の恋人ってのはちょっと考えちゃうよねー、しかも会っちゃったら余計に」
「偶然なんだけどね。すっごい可愛い子」
涼子と同じ美人タイプだけど、性格は涼子と180度違うっぽい。
「まぁ?分からないわけでもないけど。
私もこないだ溝口さんの部屋に行ってさー。料理作ろうと思ったんだけどネ?
戸棚に元カノが使ってたお茶碗が置いてあったの!」
涼子が目を吊り上げて腰に手を当てる。
お茶碗…溝口さん、捨て忘れたな…?もっとうまくやりなさいよ。
「溝口さんちにはじめてのお泊りの予定だったのに!喧嘩して帰ってきちゃったよ」
と涼子はプリプリ怒る。
な、お泊り!とな…
涼子…さりげに凄いこと言ったわね。だってまだ付き合って一ヶ月も経ってないじゃない。
でも…まぁ未遂ぽいし。てか“未遂”って…!
「やっぱさー考えるよね。元カノの存在とか」
私がため息を吐いて窓の外を見ると、
「だねー…まぁ過去に付き合ってた人が居るてのもおかしなことじゃないのにね。
話だけならいいけど、実際目で見ちゃうとね」
と涼子も納得顔。
「「はぁ…」」
二人してため息を吐いていると、
「あ。居た居た~朝都!」
と同じクラスの女の子がひょっと顔を出した。
「探したよ!研究棟の下にすっごい可愛い男子高生が来てるんだけど!
朝都のカレシだから呼んできてって!どうゆうこと!」
女の子は目をきらきらさせて勢い込んでくる。
へ―――…?黒猫??
私と涼子は思わず顔を見合わせた。



