「違っ……」
私が否定しようとしたけれど、その言葉に
「ねぇおねーさん、倭人木登り得意でしょ?
こいつしょっちゅうあたしんちの前の木に登って、夜中あたしの部屋に忍び込んでたの。
パパとママに見つかると大変だから。
親に内緒で、こっそり倭人をあたしの部屋に泊めてたの。
おねーさん独り暮らし?
今は親にバレる心配とかないから木登りしなくてももういいね」
ロシアン葵ちゃんはとろけるようなにっこり笑顔で聞いて来る。
なんだろう…
笑顔が怖い。
その精巧な作り物のような笑顔の下に
計り知れない悪意が隠れていそうで―――
夜中―――忍び込む………
ズキリ…
またも心臓が変な風によじれて、私は目の前の黒猫を見つめた。



