一人でドキドキしてると、
「お待たせ。掃除疲れた」
と制服に着替えた黒猫が登場。その後ろに隠れるようにしていたのは
…カリンちゃん??
何で!?
「亮ちゃん待たせてごめんね」
黒猫にくっついてきたのかと思いきや、カリンちゃんはどうやらトラネコくんと一緒に帰る様子。
「あ、いや。待ってないよ。アサちゃんと一緒だったし」
トラネコくんは慌てて手を振って立ち上がる。声が変な風にひっくりかえってるし。
「どうしたんだよお前。挙動不審。
朝都と何話してたんだよ。
まさかお前、また朝都にちょっかい掛けてたんじゃないだろーな」
と黒猫が探るようにトラネコくんを睨む。
「ち、違うよ倭人!」
私は黒猫の腕を引っ張って強引に隣の席へ座らせた。
「トラ…じゃなくてリョータくんも付き合ってくれてありがと。き、気をつけてね」
私はぎこちなく笑顔を浮かべてトラネコくんに手をひらひら。
『がんばってね』と言う視線を送ると、
トラネコくんは『ちょっと!』と言った感じで口をぱくぱく焦あせ。
黒猫とカリンちゃんは頭に『?』マークを浮かべながらも、カリンちゃんはトラネコくんに引っ張られて店を出て行った。
途中カリンちゃんがこっちを振り返り、名残惜しそうに黒猫を見つめていたけど
黒猫はカリンちゃんの視線に気付かず。
「腹減ったな。俺も何か食おっかな」とマイペース。
トラネコくんはカリンちゃんの視線を追いかけて、黒猫を見ると
ちょっとだけ切なそうに眉を寄せて、力なく私に微笑んできた。
高校生たちは
それぞれ等身大の青春をしていて、
でもそれぞれ
人に言えない苦しい想いを抱えているんだね。



