「――――は…?」
トラネコくんはたっぷり間を置いて、しばし硬直。
この態度…図星だな。と踏んでいたけど、
「………俺が果凛を…?」
と、トラネコくんは目を開いたままその場で動作を固まらせて目をぱちぱち。
力が抜けた手からカップが落ちて、テーブルに転がる。
中に残っていたのはほんの僅かなカフェオレ。
テーブルに零れたカフェオレをペーパーナプキンで慌てて拭いながら、
「果凛を?」
トラネコくんはもう一度口の中で繰り返して、呆けたように目をぱちぱち。
「だってアイツは幼馴染だし。妹だし。ありえねぇよ」
トラネコくんは顔を僅かに赤くして口元を覆った。
この反応―――
もしかして
「……自分の気持ちに気付いてなかった??」
私がもう一度聞くとトラネコくんは乱暴に髪を掻いて、せわしなくまばたき。
「いや…マジで…ありえないから…」
と否定の言葉にしてはあまりにも弱々しい。語尾が消え入りそうになっている。
「だって果凛は倭人のこと好きだし…」
トラネコくんはもごもごと言い訳。
そのことには―――気付いてたのネ。
「ラブハンターのトラネコくんが、まさか自分の恋に気付いてなかったとはね…」
「ラブハンターってね…」
そいや、前…運命の人だと思って付き合ったけど何か違うかもって言ってたような。
運命の人は実はすぐ間近に居たじゃない。
と言うことはだ…
トラネコくん→カリンちゃん→黒猫
と言う感じでLOVEが一方通行って感じか。
ぅうわ。
どうしよ。ちょっと青春ドラマ観てる気分だよ。
でも…
ちょっとイヤな図だな…



