トラネコくん―――…
ちょっと目をまばたいてトラネコくんを見つめていると、私の視線に気付いたのかトラネコくんはちょっと気まずそうに片目を瞑り
「今のは内緒ね。俺がそんなこと言ったって知ったらまたアイツに何言われるか」
普段通りの冗談ぽい笑顔で「にしし」と笑った。
「言わないよ」
私はトラネコくんの目をまっすぐに見つめ返して約束。
「でも心を許してない、ってそれトラネコくんの勘違いじゃない?
だって文化祭の日―――
倭人は自分の大切な人に、私を一番はじめに紹介したいって
そう言ってくれたんだよ」
私の言葉を聞いてトラネコくんは目をぱちぱち。
それでもすぐに口元を曲げると、
「あいつが?」
と笑った。
「あいつが」私は真剣に答えた。
「―――…まぁ…あいつ、意外と古風ての?そーゆうとこあるから」
トラネコくんは照れくさそうに笑って、
「青春てやつスね」とちょっとおどけて肩をすくめる。
「青春ってヤツですよ。倭人も、キミも―――」
私はコーヒーを飲みながら目だけを上げてトラネコくんを見ると
トラネコくんはちょっとくすぐったそうに笑った。
遊んでそう、とか…倭人よりマセてそうとか思ったケド
無邪気な笑顔が少年ぽくて、こっちの方がトラネコくんに良く合ってる気がした。



