「ガールフレンドと喧嘩でもした?」
「なにそれ。ガールフレンドって古っ(笑)」
トラネコくんはさっきのつまらなさそうな表情から一転、からかうようにケラケラ笑って私の方を見る。
「何よ、だって女友達ってガールフレンドじゃない」
ちょっと唇を尖らせてトラネコくんを睨むと、トラネコくんはちっとも怯まずに
すぐにニヤリと意味深そうに口元を曲げる。
「ガールフレンドは居ないけど、セフレなら居るケド?」
………
は……?
何かとんでもない言葉を聞こえた気がしたけど、気のせいよね。
だって高校生でしょ…
だって…
高校生でしょ!!?(←しっかり聞こえてた)
開いた口が塞がらないとはこのことを言うのだろうか。
私は金魚みたいに口をぱくぱくさせてトラネコくんを唖然と見た。
トラネコくんは面白そうに吹きだして、
「じょーだんに決まってンじゃん♪アサちゃんは俺のジョークすぐ真に受けちゃって♪
ホント可愛いな~☆」
じょ…冗談……
「可愛いってのも冗談でしょ。年上女をからかってんじゃないわよ」
からかわれたのが恥ずかしくて私はわざと強くトラネコくんを睨んだ。
「それは本気♪
“あの”倭人が恋をした相手ってのが気になってたけどさ―――
俺が想像した以上に
可愛い」
「また冗談ばっか言って」
私は照れ隠しにコーヒーを飲んでぷいと顔を逸らした。
「冗談じゃないって」トラネコくんがご機嫌を取るように私を上目遣いで覗き込んでくる。
「機嫌直して、アサちゃん」
黒猫のそれとは違って計算された可愛さが
…く
自然過ぎて怒る気力も失せる。



