「“別に”ってことは存在するってこと?」
少し吊りあがり気味の大きな目をまばたきさせてトラネコくんはきょとん。
「…え、いや…分かんない…」
思わず口ごもった。
何てタイムリー!
つい昨日、涼子と溝口さんともその話題をしてたから。
てか私…失友したばかりだし。
「トラ…じゃなくてリョウタくんはどう思ってるの?」
「俺?俺は…
うーん…あるかもしれなし、ないかも……」
トラネコくんはカフェオレを飲みながら首を傾ける。
「でもやっぱ―――
ないな」
最終的な結論を出してトラネコくんは頷いた。
なんなんだ……あの間は…
「どうしてそう思うの?」
気になってそう聞いてみると、
「分かんないけど」
トラネコくんはつまらなさそうにマドラーを指で弾いてどこか遠くを見ている。
「何それ。答えになってないんだけど」
聞いた本人が匙投げるなよ、とちょっと思ったケドいつになく真剣なトラネコくんの表情を見て―――
いつもの何の脈絡もない会話だとは
思えなかった。



