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高校の一番近くのファーストフード店で、私は一人コーヒーを飲んで黒猫を待ってる……と言いたいところだけど、
「ここのアップルパイうまいんだよ♪」とトラネコくんが半分に割ったアップルパイを勧めてくる。
「トラネコくん、キミが何故ここに?」
「何でってアサちゃん一人じゃ寂しーでしょ~?♪」
「さ、寂しくなんてないわよ!」
「うっそだぁ。果凛と倭人の後ろ姿をすっごい不安そうに見送ってたくせにー」
そう指摘されてドキドキィ!
トラネコくんめ、観察眼が鋭いな。
「果凛と倭人はただの友達だって。心配することないよ」
トラネコくんはカフェオレに砂糖を入れてプラ製のマドラーでかき混ぜる。
その横顔がいつになくちょっと暗い影を映し出していた。
はじめてみるトラネコくんのちょっと寂しそうな横顔。
長い睫を伏せて口元には淡い笑み。たまに黒猫が見せるそれと良く似ていた―――
やっぱ幼馴染ってどこか似るとこあるのかしらね。
しかし…
トラネコくんの髪のシマ模様(サイドの一部だけ編み込みがしてある)今日も見事だなー…
見事なまでにキマってる。
オッシャレー!っての??細身でスタイルもいいし、甘さの漂う顔は整っている。
こりゃモテるな。
しかし…あの髪……どうなってるのか気になる。
うずうず…
トラネコくんの髪に目を取られていると、
「アサちゃんはさ、男女の友情とかあるって思う?」
突如聞かれて、
「はい!私別に何も!」と反射的に手を引っ込めた。



