「す、すみません!立ち聞きするつもりはなかったんです。
朝都さんに用があったんですけど、医務室だって聞いて…」
溝口さんはあたふたと説明をする。けれどすぐに申し訳無さそうに眉を下げて
「すみませんでした」
溝口さんまで……なんで謝るの?
悪いのは私なのに。
「私こそごめんなさい。浩一に機械の口添えを頼むつもりが、
関係が悪化しちゃいました。もう機械の件は望み薄…」
言いかけて、またもじわりと涙が溢れてきた。
「別に!機械の件は気にしないでください!
元々俺が無理なお願いをしたんですから!」
溝口さんは、再び目元を押さえて涙を抑えている私を前におろおろ。
それでもちょっと考えるように、またも眉を下げて私を見降ろしてきた。
「余計なことかもしれませんけど、気にしないほうがいいですよ?
人と人が相思相愛になる確率の方が断然少ないわけなんですから―――
って……俺…慰めにもなってませんね」
溝口さんはちょっと言葉を濁して頭を掻いた。
「すみません、俺。何て励ましていいのやら」
励まし―――……?
じゃぁ
がしっ!
私は溝口さんの両肩を手で掴んだ。
「じゃぁ励ましてください。飲みに行きましょう(もちろん溝口さんの奢りで)」
急に声を低めた私に溝口さんは驚きながらも引き腰。
「…ぇ…え?いや、俺…二人きりでそうゆうのは…涼子さんに悪いし…」
「誰が二人きりと言った」
私は溝口さんのネクタイを引っ張って溝口さんを睨むと、
「朝都さん…怖いっス…」と無理やり明るい笑顔を浮かべながらもまた溝口さんは引き腰。
「失恋会…もとい失友会よ!」
「し、失友会…??」
目をぱちぱちさせている溝口さんのネクタイを引っ張って、私は歩き出した。



