私の知ってる浩一は口は悪いけど、女の子に乱暴するような子じゃない。
ましてや拒んでいる女の子に無理やり迫るような小さな男でもない。
そう
浩一は
ホントは優しくて、楽しくて、明るくて
大きい男なのだ。
浩一の顔がすぐ近くに迫ってきたけれど、私は浩一から目を逸らすことはなかった。
ただ無言でじっと浩一を見つめていると、
浩一は私に何かをするわけではなく、顔が遠ざかっていった。
「……ごめん…ちょっと悪ふざけが過ぎ…」
最後まで聞かずして、
パチンっ!
私は浩一の頬を両手で叩いた。
頬を打たれた浩一は痛みよりもその行動に驚いたように目を開いて私を凝視している。
「何やってんのよ!
悪ふざけも度が過ぎてるわよ!
あんたそんなつまらない男だった?」
今まで―――親友との関係を壊したくない…とか思っちゃたりしてたけど、
自分が何をこだわっていたのか、何を悩んでいたのか
アホらしくなった。
「幻滅だよ!
こんなこそこそ倭人の知らないところで仕掛けるなんて。
私の彼氏は黒猫…じゃなくて倭人と付き合ってるの。
倭人が好きなの!!
あんたも分かってんでしょ!」
私の叫び声は医務室中に響き渡った。
そんなことないのに、薬品棚のガラス戸とかびりびり音を立てているように思えた。
私自身びっくり!だよ。
こんな大声を挙げたのはじめて。自分にこんな力があったなんて新しい発見だ。
目の前の浩一はひたすらに驚いて目を開いていたけど、やがてほんの少し俯くと打たれた頬をさすりながら立ち上がった。



