「まぁそんなんで半年ほど付き合ったかな。
街でデートしてるときに、バイオリン教室の先生だって言う男と偶然鉢合わせて、
それまで手を繋いでたんだけど
あいつ
その男を見ると慌てて俺の手を振り払ったんだ」
黒猫がちょっと悲しそうに笑い、眉を下げて私を見つめてくる。
それって……
私はちょっと
黒猫と顔も知らない元カノの姿を想像した。
振り払われた手を呆然と見つめる黒猫。
まるで捨てられたネコのように―――意味が分からず、悲しかったんじゃないだろうか。
「俺もバカだよなー。
最初は外で手を繋ぐとかそうゆうことって恥ずかしいのかと思ったから深く突っ込まなかったけど」
でも
違った―――……
今の黒猫ならその理由を分かっている。
「そのせんせーってヤツがシトウ ヒビキだったんだ。
あとから聞いた。
あいつ俺と付き合ってたときもずっとシトウ ヒビキが好きだったんだって。
俺と付き合った理由も、俺があんまり喋らないから。
あれこれ深く突っ込んでこないから。だからシトウ ヒビキのことを忘れるために
利用したって」



