―――思えば、最初から猫っぽいところがあった。
顔も猫みたいだし。
一番最初に会ったときに
目力がある子だな―――…
それが随分印象的だった。
印象的な黒い目は目尻が僅かに釣りあがっていて、一見女の子っぽい印象を抱いたけど、黒い前髪の隙間から見える直線的な眉はきりりと男らしかった。
睨まれているわけではないのに、その大きな目でじっと見つめられると何故かこっちが顔を逸らしたくなる。
今ではあんまり考えられないけど、当初は私の目をじっと見て喋る子だった。
私だけじゃなく、彼のお父様に対しても。
だから誰に対してもそうなのかと思ったけれど、
いつからか、そっけなく顔を逸らすようになった黒猫。
あからさまに目が合っても、ぱっと顔を背ける黒猫。
いつからだったかな……
そんなことをぼんやりと思い出しながら、
「はい、ご褒美」
と言って、手渡したのは
白くて小さなふわふわのマウス(ねずみ)のケータイストラップ。
「何これ。ネズミ?」
黒猫はマウスをつまんでしげしげと眺める。
「好きでしょ?(猫だから)」
「ツナ缶の方がよかった」



