「俺は、お前に祝福―――なんてされたくないし、
お前の祝福なんてしたくない」
いつになく真剣な浩一が私を見下ろしてきっぱりはっきりと言い切る。
「…な、何よ。そりゃお節介かもしれないけど。
親友だと思ってたのは私だけかもしれないけど…」
酷くない?
と続けようとして、私の手首が浩一の手に掴まれた。
黒猫と違ったその手の感触に―――私は目をまばたいてその手を見つめ、そしてゆっくりと顔を上げた。
「―――浩一…?」
「俺はお前の親友って立場じゃなくて、
俺はお前の―――」
浩一が言いかけたときだった。
TRRRRR…!
私の白衣に入れっぱなしにしてあったケータイが鳴った。
掴まれていない方の手でケータイを取り出して、サブディスプレイを確認すると
着信:黒猫倭人
と流れる文字を見て私は目をまばたいた。
「…黒猫からだ。ごめん、浩一。ちょっと待って」
ケータイと浩一を交互に見て小さく謝りを入れるも、浩一が私の手首から手を離す気配はなかった。
「出るなよ!」
一言大きな声を発して、私の肩がびくりと震える。
はじめて……
浩一がこんな風に怒鳴ったところを見た。
私は戸惑ったまま手の中にあるケータイと浩一を再び見比べて、浩一は困ったように眉を下げていた。
「頼むよ。出ないでくれ」
もう一度懇願するように、囁くように言われて、
「………どうして?」困惑したように浩一を見上げた。
「どうして?それは俺の台詞だ。
こんなにも近くに居るのに―――」
浩一は苦しそうに顔を歪めて、
ぐいっ
私の手首を引き寄せると、乱暴とも言える仕草で
私を抱きしめてきた。
え―――………?



