…み、溝口さんてそっちの趣味の人!?
「涼子と言う人がありながら、堂々と浮気ですか?」
私はちょっと顔を青くして思わず後ずさった。
まだ金の無心の方が良かったわ。
黒猫も謎めいているけど、この人はもっと謎!
「は?浮気??」
と溝口さんが顔を歪める。
コホン
溝口さんは大仰に咳ばらいをして、真剣に私を見下ろしてきた。
「紹介してほしいってのは、うちの商品をさりげなく第一病理の教授に後押ししてほしいってことです」
―――
私は溝口さんを連れてカーネル教授の研究室に向かった。
研究室のインスタントコーヒーを溝口さんにごちそうして、お話しの全貌を聞いた。
「この大学、朝都さんとこの細胞病理学と第一病理がメインなんスよ、俺」
「知ってます。だからわざわざ今更浩一を紹介する必要なんてないんじゃ?
第一、イチ学生の浩一にそんな権限ないですよ」
呆れて言うと、
「分かってます。でも今回でかい機械が入ることになって、約1,000万の売り上げが期待できそうなんス」
1,000万円と聞いて驚く人も多いだろうけど、大学内じゃ割と普通。
「だったらいいじゃないですか。もう決まってるんでしょ?」
「いえ。俺のとこと、もう一社が見積もりを出してる状態なんですが、教授が悩んでるって」
私は浩一のとこの教授を思い浮かべた。
確か浩一のとこの教授は……50歳代の女性教授だった気が…
「で。浩一に口ぞえを頼みたいってことですか?」
「ええ、まぁ早い話そうなんですが。
ライバル会社は卑怯なんスよ!今まで担当が男だったのに、教授に気に入られてないから
この機械の話が出てから女の担当者に変えて、
浩一さんから崩していこうって狙ってるンすよ!」
溝口さんは今にも頭から湯気を出しそうにして肩をいからせた。
「色気作戦??」
私は目をぱちぱち。
「あの女!あの会社では相当ヤリ手だって聞きました。後輩じゃ契約取れないと踏んで自ら出てきたわけッスよ!」
はぁ…何かいろいろ根が深そうですね…



