ツレの女の人は溝口さんと同年代のように思えた。
濃いグレーのパンツスーツがいかにも仕事デキそうな雰囲気の美人。
「誰あれ?」
こそっと涼子に耳打ちすると、涼子も「さあ」と首を捻った。
浩一は私たちに気付いていないのか、楽しそうにその女の人とお喋りしている。
これは…もしや……浩一に春??季節は秋だけど。
しかもあんな美人。浩一やるな♪
涼子もイケメン溝口さんと付き合うことになったし、順風満帆じゃない?
……私を除いては。
黒猫からはやっぱり連絡がなくて、私はため息を吐いた。
連絡するって言ったのに―――
それともシトウ ヒビキと過去にトラブルでもあって、凹んでる…もしくは怒ってる??のかなぁ。
てか相手33でしょ?黒猫の半分の歳じゃない。接点を探すほうが難しいよ。
―――私は黒猫の過去をあまり知らない。
聞いたら―――話してくれるのだろうか…
やっぱりネコだからだろうか。(注:人間の♂です)
ところどころ―――倭人は謎めいている。
―――
カフェテリアで涼子と別れてとぼとぼと研究室に向かう途中、
「朝都さん!」
またも溝口さんに呼び止められた。
「溝口さん、仕事してください。涼子なら私の研究室にいませんよ?」
まだ彼が何も言っていないのに、私はもうお決まりになった台詞で先回りをして溝口さんをちょっと睨む。
完全なる八つ当たりってやつだったけど、溝口さんは気にしたようではなかった。
と言うか目が真剣。
「仕事、してます。
朝都さんにお願いがあるんです」
「お願い?お金ならありませんよ」
「誰が得意先の学生さんに金の無心するんですか」と、溝口さんは呆れ顔。
でもすぐにその表情を引き締めると、
「俺に、上野さん(前に一回説明しましたが浩一の名字です)を紹介してください」
―――は?



