それから涼子とは近くの構内のカフェテリアに移動。
またもコーヒーを飲みながら、私は昨日のことを涼子に話し聞かせた。
「ふーん、それで帰っちゃったの?黒猫くん」
涼子は心配そうに眉を寄せている。
「喧嘩ってわけじゃないんだけどね。なんか微妙な空気になっちゃって」
「でも黒猫くんが何でシトウ ヒビキのこと知ってたんだろうね?
シトウ ヒビキは公の場に出ないことで有名なんだよ。謎めいているっていうか。
テレビに出ないし、出したCDもたったの一枚。マニアじゃなと知らないわよ?その名前」
黒猫がクラシックマニア……
……………には思えない…
私にとっては黒猫の方が謎めいてるよ。
今はそのバイオリニストより黒猫の方が気になる。
「ただごとじゃない、って顔してさ~
それまではご機嫌にお魚ビス食べてたって言うのに…
急にどうしちゃったんだろ…」
頬杖をついて小さく吐息を漏らすと
「わかんない事があれば聞けばいいじゃん♪」と言って涼子はスマホを取り出す。
「溝口さんにでも聞くつもり?あの人こそそうゆうことに縁遠そうじゃない?」
「溝口さんじゃないわよ。私の質問に答えてくれる人はたくさん居るの♪」
意味深に笑って
涼子はスマホに指を滑らせた。
気になってちょっと画面を覗いてみるとツイッター画面だった。
「これでよし♪フォロワーが回答くれるから待ってるダケ♪」
「フォロワー…?」
「そ。同じ趣味を持った人が私のフォロワーになってくれてんの」
涼子は満足そうに言ってスマホを仕舞い、
はー…
世の中便利になったもんだ。と感心。
台詞が年寄りくさいけど気にしないで。
そ言えばみけネコお父様のお店の人気もfacebookだったわね。
発端は誰かのfacebookの書き込みだったけどそれが口コミで広がって人気になってるし。
イマドキの電子情報…あなどれん。
と私がしみじみしていると
カフェテリアの入り口から若い男女が入ってきた。
その男の方は浩一だった。



