黒猫…
また木登りして。
相変わらずなヤンチャっぷりだな。
てかまた大学に入り込んで。
迷いネコ??
と、ちょっと思ったりしたけど、
―――やっぱり嬉しかったり。
「大人しくおうちで待ってられなかったの?」
「ご主人さまと早くお散歩行きたかったのー」
と黒猫が無邪気に笑って、こないだより低い位置に座っていた黒猫が
ひらり、と身を翻し
またも絶妙なバランスで着地に成功。
ホント、ネコ…
「散歩好きのネコってはじめて聞いたよ」
「外の世界が好きなのデス」
黒猫の可愛い言い訳(?)に私は思わず笑った。
「まぁネコって好奇心旺盛だしね。あんたが退屈しないように今度ねこじゃらし買うよ」
「ご主人様が遊んでくれるならそれもいいかもな」
黒猫はちょっと無邪気に笑って、
でもすぐに真顔に戻ると、
「外の世界は―――……
大人の世界ってのは…
案外きれいなものじゃなくて、ちょっと幻滅した。
現実とか、立場とか―――…
大人になるってことは汚い部分も受け入れていかなきゃいけないんだ、って思ってたけどサ」
黒猫はポケットに手を突っ込みながら僅かに顔を逸らす。
だけどすぐに、
「でもさ…」
ポケットから手を取り出すと、鞄を放り投げて
「こーやってサ」
その場で手をつくときれいな姿勢で倒立。