パチパチ!
どこからか拍手が沸きあがって、その音はやがてカフェテリア中に響き渡った。
公衆の面前で告白をしてしまった溝口さんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせて頭を掻いている。
涼子も同じ、顔を真っ赤にさせて俯いている。
「「おめでとー!!♪」」
方々で祝いの言葉があがって、二人は恥ずかしそうに顔を見合わせていた。
私は祝福されている二人からそっと離れて
研究室に向かった。
私、溝口さんに結構ひどいこと言った。
想い合ってる二人を引き剥がしちゃったかと思った。
だけど私の言葉は
溝口さんに伝わった。
ううん
私の言葉は、いつもまっすぐな黒猫の言葉―――
ありがとう
倭人。
研究棟の玄関の扉を開けようとすると、
「にゃ~」
ネコの声が聞こえた。
この声―――…
私が顔を上げると、以前倭人が登っていた木の上から
倭人が、口元に笑みを浮かべて
私を見下ろしていた。



