涼子が花束を受け取ったとき、気が抜けたのか溝口さんはその場にへなへな。
「す、すみません……俺、みっともないとこばっかで…
でも本気で涼子さんのこと好きなんです。
諦めることも考えたんですけど、やっぱりそれだけは無理で―――
玉砕覚悟で告白したんです。
だから嬉しくて」
確かに…
かっこいいのか、かっこわるいのか分からないケド。
でも
涙目になりながら溝口さんが涼子を見上げ、涼子も眉を寄せて今にも泣きそうに瞳を揺らしているのを見て、
そんなかっこ悪いとこも全部さらけ出した溝口さんは
やっぱり、かっこいいよ。とちょっと思った。
黒いスーツの溝口さんの横に立つ涼子の白衣は―――
いつかペルシャ砂糖さんに付き添った彼女のウェディングドレス姿に、重なった。
「私も溝口さんのこと好きだったから、そう言ってもらえて最高に幸せです」
溝口さん、良かったね。
人を幸せにすることは案外簡単なことなんですよ。
私は二人の幸せをずっとずっと―――願ってる。



