「…倭人は…自信があるわけじゃなくて、
ただ単に純粋なんですよ。
私を純粋に好いてくれてる―――
ただそれだけです。
幸せにしたいとか、たぶんそういうことは溝口さんと変わらないと思うけど、
でも理屈であれこれ考えたりしない。
恋愛と結婚を方程式で考えたりしない。
気持ちを量りではかったりしない。
ただ本能で―――私の傍に居てくれる。
ただ、
それだけなんです」
私が言うと溝口さんは泣き出しそうな表情で瞳を揺らし、またも顔を覆った。
「溝口さん……
個人の気持ちや考え方はそれぞれだと思います。
私だって100%倭人に同調できるわけじゃない。けれど彼だってそれを分かってる。
その上で私たちは付き合ってるわけです。
あなたと涼子はその関係を築き上げられますか?
今涼子と付き合っても、またそうゆう問題が起きるかもしれない。
でも私は……涼子の親友なんです。
涼子のこと悲しませる人を彼女にオススメできない。
溝口さんが涼子を幸せにする自信がなければ
涼子から手を引いてください。
涼子を傷つけないで。
今ならまだ傷は―――浅い」
私は溝口さんの顔を覗き込んではっきり言うと、溝口さんは少しだけ目をまばたいて私を凝視した。
そんな彼に最後に一言。
「大事なのは“将来”じゃなくて、“未来”です。
相手を想う純粋な気持ちさえあれば、ほかには何もいらない」
私が黒猫からもらった未来。
人はネバーランドでは生きてはいけない。
でもその先を想像して、
大人になって得るものを―――
倭人は重荷に思ってない。
成長しても変わらず気持ちがあり続けることを信じて疑わない。
そんな純粋な気持ち。
忘れかけていた大切な気持ち―――
溝口さんも思い出してください。



