Chat Noir -バイオハザー度Max-




―――


「過労と風邪だね」


カーネル教授の診察結果を聞いて私たちは揃って目をぱちぱち。


あのあと私は倒れそうになっている溝口さんを自分の研究室に強引に引っ張って、恐縮する溝口さんを無視して慌ててカーネル教授を呼んだ。


教授は内科の往診もしてるから。



だって溝口さん…今にも死にそうだったんだもん。


そんな人を放ってなんておけないよ。



今は研究室の簡易ベッドで寝かされてる溝口さん。


恥ずかしそうに顔を覆い、「すみません」と消え入りそうな声で答える。


「いやいや、いいんだよ。君にはよくしてもらってるからね。


まぁ解熱効果と栄養のある点滴を打てば多少は良くなるだろう。


真田くん、生食(生理食塩水のこと)持ってきてくれる?あと点滴の準備も」


カーネル教授に言われて私は慌てて薬品棚から生食のパックを取り出した。


「まさか朝都さんが点滴差すんですか?」と溝口さんはちょっと心配そう。


おい、溝口。


私はそんなに頼りないのかよ。とちょっと白い目で横になった溝口さんを睨み降ろした。


ま、まぁ?私もマウスには注射したことあるけど人間はないし、そもそも免許がないので打つこともできませんが~


「私が打ちますよ。ご心配なく」とカーネル教授はおおらかに笑う。


「でもその生食…半年前に僕が納めた品ですよね。期限とか大丈夫なんですか…?」


「ふぉふぉふぉ。そうだっけ?」


カーネル教授はのんびり笑って、点滴のパックを手馴れた様子でセットして。


てか半年前って本当に大丈夫なの??


「ちょっとチクっとくるかもしれませんが我慢してくださいね~」


カーネル教授はまたもおおらかに笑って、


ブスッ


「いってぇーーー!!」


溝口さんは喚いて、「ふぉふぉふぉ」カーネル教授はまたもにこやかに笑う。





私……風邪ひいても絶対この教授にだけは診てもらいたくない。


と実感した瞬間。