泣かせてみたい、ってちょっと思ったケド
いきなり!?
って……欠伸して目尻に涙が浮かんでるだけだけどね。
大きな吊りあがり気味の目尻にたまった涙の粒が沈む夕日に反射してキラキラしている。
あ
可愛い
……ってか。
黒猫、超普通通りなんですけど。
しかも勉強の日を忘れる?
私だけドキドキしてたみたいでバカみたいじゃん。
「昼寝でもしてたの?寝癖ついてるわよ。睡眠学習できるほどあんた器用だっけ?」
背伸びをして、嫌味ったらしく頭をはたくと、
「いてっ」
と黒猫が顔をしかめた。
制服のシャツはズボンから飛び出てるし、ネクタイは緩まっている。しかも黒い髪にふわふわと寝癖なんかつけちゃって。
何だよ、やんちゃかよ。
可愛いじゃんか……
と思う自分。つい最近までは何とも思わなかったのに、黒猫の小さなことに反応してしまう自分。
「俺だって疲れることがあるんだよ」
なんて可愛い顔して、疲れきったおっさんサラリーマンみたいな台詞吐いて。
でもそこが、ギャップ萌え。
………
私、頭の中変だ。
どこからか入り込んだ変態のウィルスがいつの間にか増殖して、増殖して、増殖して
変化を遂げている。



