「ままごとだぁ?


んなこと俺が一番分かってンよ」






黒猫が眉を一層吊り上げて溝口さんを睨む。




「俺が朝都を養えるまで何年掛かるか、とか俺だけの力でこの人を守ることができるのがあと何年先なのか―――




イヤって程考える」



黒猫がテーブルを叩いて身を乗り出した。



『早く大人になりたいなー』


ときどき、黒猫から聞くその可愛い言葉。


その言葉の裏では焦りとか悩みとかいっぱい抱えてるんだ。


そのことに気付いた。




「分かってるけど、


俺はまだガキで、朝都を支えるだけの力がないことを―――



俺自身が一番知ってる。




でもあんたは何でも持ってる。


あんたが言った法的措置も、支えるだけの経済力も





守るだけの力も。



好きじゃなかったら、


結婚したいって思う程強い気持ちがなければ



涼子さんを困らせんじゃねぇ。





悪戯に涼子さんを悩ませんじゃねぇよ!」





黒猫は一気に言って溝口さんを睨むと、溝口さんは口を噤んだ。