Chat Noir -バイオハザー度Max-




結局溝口さんのおうちにお邪魔することになった。


きれいなマンションで、間取りは2LDK。これまたきれいな部屋だった。


独り暮らしには若干広すぎるぐらいの部屋。


と言うか六畳一間のボロアパートに住んでる私とは雲泥の差。比べるのが可哀想なぐらい。


お家賃いくらぐらいするんだろうな…


と、またも現実的な考えを浮かべていると


「つい三ヶ月ぐらいまではねー、女の子と住んでたのよ。同棲ってヤツ?」


あー…なるほど、それでこの広さか…


てか同棲!?あ、でも三ヶ月前だし。


「でもアキヨシ、フられちゃってね、その女の子出ていっちゃったの♪


でもそのお陰で私もこっちに出張のとき泊めてもらえるから助かってるんだけど。


あ、私。広告会社に勤めてるの」



溝口お姉さまはカラカラと笑い、溝口さんは


「ちょっ!何バラしてんだよ!


てか経費でホテル泊まれるんならそっち行けよ」と一人あたふた。


「あんたがおねーさまの顔見たいかと思って顔出してやってんでしょ?」


溝口おねーさまが目を吊り上げてふんと腕を組む。


「姉貴の顔なんて見たくねぇし」


……って、どこかで聞いたやり取り。


あ、そだ。黒猫とみけネコお父様だ。



そんなことをぼんやり考えていると、


「何でフられたんですか?」


黒猫は出されたコーヒーを一口飲みながら、相変わらずのけだるい表情で溝口さんを見る。


ぅわぁ!黒猫っ!!聞いちゃだめだろ!


「アキヨシが甲斐性なしだからよ♪うふふ」


溝口お姉さまは楽しそうに笑ってテーブルに頬杖をついて、おとーとがフられた原因より黒猫に興味を持ったみたいにわくわく。


「ところで君は誰?♪このアサトお姉さんの何?」





「アサトおねーさんの飼い猫です」



黒猫は真顔できっぱり。





く、黒猫ぉ!!


そんな冗談(?てか本気かも)言ってる場合じゃないって。


空気を読んでくれ。