Chat Noir -バイオハザー度Max-




「『口説きました』ってヤダ♪ストレート!♪羨ましいわ」


女の子たちはきゃいきゃい。


あっという間にカウンターにはひとだかり。


ゴホン


みけネコお父様が咳ばらいをして、女の子たちは慌てて持ち場に戻った。


一人だけ残った女の子は私にテキーラサンライズを作ってくれている。


「ねぇ今日女性客多くない?」


気になっていたことをその子に聞くと、


「ああ。ちょっと前にfacebookで紹介されてたのよ。イケメン店長が作るカクテルって。


ほら店長、何とかって言うバーテンのコンテストにも優勝したでしょ。その効果もあって」


「イケメン店長、あいつが?」


黒猫は納得いかないように口を尖らせている。


facebookか。なるほど。


「ねぇあんたfacebookやってる?」


私はちょっと黒猫に聞いてみた。ちなみに私はやってない。


黒猫が書いてるって言うんなら登録だけでもしてみようかな、って気になったから。


「やるわけないだろ?めんどーだし」


と想像した通りの答え。


ああ、確かにマメではないわね。


「店長やってるよ。今度覗いてみたら?」


女の子はにこにこ言って、テキーラの入ったグラスにオレンジジュースを注ぎいれる。


それに反応したのは黒猫。


「あいつが?あの歳で?相変わらずチャラ」


「あの歳でって、店長いくつなの?見た感じ三十前半に見えるけど」


「あいつは若作りしてますけど、4X歳ですぅ♪」


黒猫がまたもみけネコお父様の秘密をあっさり暴露。


「へぇ、見えないね!」


女の子は厨房の方を振り返って、シェフたちになにやら指示をしているみけネコお父様の背中を見る。


みけネコお父様は盛大にくしゃみをして、肩を震わせていた。


ああ、せめて黒猫の頼んだジンジャーエールきてくれたら…


何か持たせたら静かになると思うのに。


って、完全子猫扱い。