キぃ



部屋の扉がきしんだ音を立てて


パタンとしまり、





リビングにトラネコくんとカリンちゃんが居ることを知っていたけど、


私たちは手を絡ませて、





そっと口付けを交わした。




触れるだけの優しいキス。


でも秘密めいたその口付けは、どんなに濃厚なキスよりもドキドキと胸が高鳴った。


ぎゅっと抱きしめられて、耳元に口を寄せて黒猫が囁く。





「発情期かも。


二人が居なかったら、朝都を押し倒してたのになぁ」






黒猫の言葉に私の顔が熱くなった。


「な!何言ってんのよ!バカネコ!」


「だって朝都の飼い猫だもん」


きゅっと抱きしめて黒猫が囁く。



にゃ~




ネコが私の耳元で小さく鳴いた気がした。