「試合中にさぁ…」
トラネコくんとカリンちゃんが昔話に花を咲かせているときだった。
TRRRR
私のケータイが鳴って、私は慌ててバッグからケータイを取り出した。
着信:涼子
となっていて、何故だかほっとした私。
「倭人…ごめん。涼子から電話だ。ついでにタバコ吸ってくるからベランダいい?」
ちょっと聞くと、
「勝手に入っていーよ」
黒猫はあっさり。
黒猫…私にプライバシーを隠す気ゼロ。
無防備って言うのかな。
部屋で変なもの見つけても知らないよーだ。
まぁいっつもお部屋に入ってるから大体何がどこに置いてあるのか分かってるけどね。
TRRR…
「アサちゃんの友達~?きれーなお姉さん紹介して♪」とトラネコくん。
「涼子さんは確かにきれーだけど、誰がお前に紹介するか」
涼子…良かったね。あんた年下男子高生に“きれー”だって。
「家庭科のミワちゃんよりきれー?」
「三輪ちゃんよりきれー。ってか三輪ちゃんおばあちゃんジャン。知らなかった、お前熟女好き?流行ってンよな」
てか熟女って…おばあちゃんて…
トラネコくんと黒猫は再び学校のお話しをしている。
鳴り響く着信を手の中に、私は逃げるようにその場を立ち去った。
ちらりとリビングを振り返ると、三人は学校の話をしているのだろうか楽しそうに談笑している。
あのときはこうだった、ああだった。
三人は幼馴染だし同じ高校だし、私の知らない過去や普段をいっぱい知っててもおかしくないけど、
私の知らない黒猫を―――カリンちゃんはいっぱい知ってるんだ。
そう思うとズキリ
心臓が痛んで、私はその三人の姿を見ないように振り返りベランダに向かった。



