Chat Noir -バイオハザー度Max-



カリンちゃんはいつから黒猫のことが好きだったんだろう。


ずっと前から……だったら、私が急に現れて急に黒猫の飼い主になって―――


あっさりと黒猫の気持ちをさらっていった私のこと…気に入らないだろうな…


そんなことを考えてぼんやりとコーヒーのカップに口につける。


財津家で常備買い置きしてあるコーヒー豆は、インスタントではなく上質な香りがした。
(みけネコお父様がコーヒー好きだから)


深いコクでおいしかったけど、それはちっとも甘くはなかった。

(当たり前か。砂糖入れてないもんね)


「いいな~倭人は。


可愛くて頭が良いカテキョな彼女が居て~」


トラネコリョウタくんがちょっと羨ましがるように私たちを目配せ。


トラネコリョウタくんもKY…カリンちゃんが居る前でそんなこと言い出さないでくれ。


ネコだし、マイペースなのは分かるけどさぁ。


「そだ!アサちゃん企画してよ♪女子大生と合コン♪」


トラネコリョウタくんが身を乗り出してきて、


もはや“アサコちゃん”とも呼ばれない私。なんか省略されてるし。ま、いいんだけどね…


「お前彼女居るじゃん?サイテーなヤツだな」


黒猫が呆れたようにケーキを口に運んでトラネコ(もう私も省略でいいや)くんを睨む。


「別れちった~」


「別れたって?付き合ったばっかじゃん。てかお前今年入って何人目よ」


黒猫が不機嫌そうに聞いて、トラネコくんは腕を組んだ。


「五人目。なんか~違うんだよね。付き合うときは“この人”だ!って思うんだけどな」


ご、五人とな!!


イマドキの高校生はススんでるな……私が高校生のときは、三年のときに同じクラスの人とちょっと付き合っただけだよ?


と、ちょっと私はぼーぜん。