どうしよう私。
今、すっごく黒猫とキスしたいよ。
言葉じゃなくて、体温じゃなくて
唇を重ねて、そこから私の全てを伝えるように―――
私はあんたが望んでくれたら、ずっとずっと―――黒猫の傍にいるよ
少しの間見つめ合って、黒猫が私の頬を優しく包む。
瞳を閉じて黒猫の手のひらの感触を確かめるように彼の手を包み込む。
「朝都―――」
名前を呼ばれて、お日様の匂いを間近に感じた。
唇と唇が触れる瞬間。
ピンポーン
無情な音で私たちは揃ってビクッ!
「…お、お客さん?」
黒猫から離れるように玄関の方を見ると、黒猫の手が私の頬を強引に引き戻す。
顔を戻すと黒猫の真剣な表情が目の前にあった。
「いいよ。どーせ新聞の勧誘かなんかだろう?」
いつになくちょっと強引な仕草にもちょっとドキっ。
そう―――だった…
こいつは黒いネコじゃなくて
“男”だったんだ―――



