息を切らして黒猫のマンションに駆けつけ、インターホンを押すと、
「あれ?今日って勉強の日だっけ?」
と、またもケロっとした黒猫登場。
びっくりするぐらいいつも通りだった。
傷心中の溝口さんよりむしろ元気っぽいし、あっちを先に片付けるべきだったか…と思っちゃったぐらい。
「…い、居たの?お父様も私も電話したんだけど出なかったから…」
「え?あー、悪り。探し物してて気付かなかった」
とさらり。
さ、探し物だとぅ!
「あんたどんだけ私が心配したと!!」
と目を吊り上げると、
「ごめん」とあっさり謝ってくる黒猫。
「いいよ。無事なら」
いつになく素直な黒猫に私も拍子抜け。
「せっかく来てくれたしコーヒーでも飲んでいってよ」
ご機嫌な様子の黒猫に腕を引かれて、私はまたも黒猫のおうちにお邪魔することになった。
―――
「見つかったんだ。写真」
黒猫が私の分のコーヒーを淹れてくれて、テーブルの上を目配せ。
「写真……あ」
それはみけネコお父様と私の知らない女の人が映っていた。その真ん中に一歳ぐらいの可愛い赤ちゃん。
「これ、お母様??わ。きれいっ!」
紗依さんだ。
ほっそりとした色白美人♪少し吊り上がり気味の大きな目が印象的だった。
さながら上品な白ネコって感じの人だ。
ペルシャ砂糖さんとは違うタイプだけど。
ってかお父様…今とそんなに変わらない。
化けネコだ。
でも……私はコーヒーをカップに注ぎいれている黒猫の横顔をちらりと見て、
黒猫はお母さん似か。と納得。
「ってことはこのちっちゃい赤ちゃんが倭人?」
ぅうわ!超可愛いんだけど。
仔猫だ。



