研究室に浩一を置いてきたから、そこに戻りながら私は黒猫に電話をしてみた。
だけど、みけネコお父様の言った通り
繋がらない。
そう言えば黒猫から今日メールもきてなかったな。(まぁいつものことだけど)
あいつが何を考えてるのか未だに私は分からなくて。
今朝別れるときは普通…ってか相変わらず生意気そうだったケド。
でも…
男の子だし??“彼女”の前ではかっこつけたがる生き物だし。
ホントはダメージを受けてて、ぼんやりしてたりして。
それでもって車なんかに轢かれちゃったら?
ネコって想像を超える大きさの物体(自動車)に突然遭遇してしまったとき、判断力を失ってその場で体の動きを止めてしまうとか言ってたな…
どうしよう!
考え出すと、危ない妄想は止まらなくなる。
か、飼い主の私がしっかりあの子を守らなきゃ!
と、男女の愛と言うよりもむしろ母親…ってか飼い主か……そんなような気持ちになって私は慌てて研究室に飛び込んだ。
「浩一!ごめん。私、用ができた!」
勢いよく扉を開けるものの、中には白衣を着た後輩くんだけ。
「浩一先輩、朝都先輩をちょっと待ってたんですけど、さっき別の先輩に呼ばれて出ていきました。
“話はまた今度でいい”って言ってましたよ」
何やら怪しい色の液体が入った試験管を傾かせて、
「“話”って何ですかね!もしやラブネタっすか!
朝都先輩って彼氏居るんすよね♪過去に、浩一先輩と何かあったんすか?」
後輩くんはわくわく。
「そんなわけないよ。あいつとはただの友達。
過去も現在も未来も」



