みけネコお父様も頭を下げて、穏やかな微笑みを浮かべていた。
大人でもない、子供でもない、バランス―――かぁ。
そんなこと言われたのはじめて。
コーヒーからほんのわずか甘い香りが漂ってきたように思えて、私は小さく頷いた。
大丈夫
向き合えばきっと―――親子なんだもん。
きっとうまくいくよ。
……うまく。
「だけどさっきあいつに電話したら繋がらなかったんだ。もう家に帰ってる時間だし、
バイトもない日だからまた遊んでるのかな」
と、みけネコお父様はちょっと口を尖らせた。
黒猫…またおうちを脱走して野良やってんのか。
「昨日の今日だし、さすがにちょっと心配になって
念のため亮太くんのおうちと果凛ちゃんのおうちにも連絡してみたけど、二件とも知らないって。
僕って過保護だと思う?」
真剣な顔でずいと顔を寄せられて、私は思わず背を逸らした。
近い、近い!
ってかみけネコお父様…普段は放任なのに、心配することでもあるんだなー。
ある意味気まぐれっての??ほんとネコ親子。
「私からも電話してみます」
もしかしてみけネコお父様の電話を無視してるかもしれないから。とは流石に言えなかったケド。
「ほんと~?助かるよ。僕これからまた業者との打ち合わせだから、倭人に繋がったら連絡くれる?」
とマイペース。
黒猫のことが心配じゃないんかい。
うーん…やっぱりネコ。