「まーまー、そう落ち込むなよ」
黒猫はにっこり笑って私の肩をぽんと叩く。
これは…私、慰められてる??
だけど黒猫。もっとましなフォローしてよ。
これを落ち込まないで、どこを落ち込むってのよ。
「俺は好きだけど?
朝都のそーゆうとこ。
気取ったお高い女より親しみやすい気がするし」
黒猫に言われて私は目をぱちぱち。
していると、予告も無く黒猫に抱きしめれた。
んぇえええええ!!
またも私は声にならない悲鳴を挙げて、
「俺は好きだけど。朝都の全部」
囁くように言われておずおずと黒猫の背中に手を回す。
こ…これは黒猫なりのフォローってやつかしら。
お風呂あがりだからだからだろうか、黒猫の体ぽかぽか。あったかい。
いつも無邪気なお日さまの匂いを漂わせてるのに、今は爽やかな石鹸の香り。
シャボンの香りで鼻腔を優しく刺激される。
少年だったはずの黒猫の中に“男”を見た瞬間。
ドキリと心臓が打って、それを隠すように
黒猫がどんな表情をしているのか知りたくて顔をあげようとすると、無理やり胸元に抱き寄せられる。
再びドキリとして心臓が鳴って、
でも黒猫の心臓はもっとドキドキいってた。
あ。
やっぱさっきの―――
何でもないように大五郎を指摘したけれど、それは黒猫の照れ隠しだったんだ。
可愛い私の
倭人。



