お味噌汁が出来上がってガスコンロの火を止めたときだった。


「いい匂い。味噌汁?」


すぐ後ろで黒猫の声が聞こえて、私は文字通り飛び上がった。


だって全然気配を感じなかったし。


さすがネコ。


ちょっと振り返って


「…二日酔いにはいい…」Noーーー!!


私が叫びだしそうになった理由。


それはお風呂あがりの黒猫が裸の腰にバスタオルだけを巻きつけたかっこで私のすぐ後ろに立っていたからだ。


「ちょっ!ちょっと何か服着てっ!!」


慌てて顔を背けると、


「その前にドライヤー貸して。どこ?」


と黒猫はマイペースに聞いてくる。


黒猫に“恥じらい”と言う言葉はないらしい。


ま、まぁ?細いけど引き締まったイイ体してるし??


思わずヨダレが出そうになって私は慌てて口元を引き締めた。


………


って…あんたどこ見てんのよ朝都!


「た、棚にしまってある!」顔を背けて洗面台を指差すと、


「どこの棚?」と黒猫が聞いてくる。


「そ、そこの棚っ!引き出しの一番下っ。勝手に出して使っていいからっ」


黒猫っ!!お願いだからバイオハザード変態ウィルスを活性化さないでっ!


と心の中で叫んでいると、黒猫は言われた通りまたもマイペースに洗面所に向かっていった。


ちゃんとできるかな。


とちょっと母親みたいなことを思ってちらりと覗くと、黒猫は腰を屈めて言われた通りカラーボックスは引き出しを開けていた。


だけど


カラーボックスの中から取り出した“それ”を眺めて


「黒?あんたエロいのつけてんね」


と黒猫は目をぱちぱち。


ギャー!!!


間違えたっ!