黒猫は私たちの近くまで歩いてくると、
無愛想に浩一を睨み上げて、
「俺の飼い主に触んじゃねぇよ」
そう言って浩一の手を引き剥がし、私の手を握ってきた。
―――飼い主ってね……君、私に飼われてんの?もっとこう、かっこいいキメ台詞ないの?
と思わず冷静な自分が心の中でツッコミを入れるも、
何かその言い方、可愛いかも。
さっきまでポケットに手を突っ込んでたからかな。あったかくて気持ち良くて
そんなんどうでもよくなる。
飼ってやるわよ。
でも
「はぁ?何だよお前。こいつのバイト先の生徒か何だか知らねぇがな、悪戯にこいつを振り回すのはやめろ」
と浩一は面白く無さそう。
ってか、思い切り威嚇??



