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それから三日後…


今日はお勉強の日だったけれど、みけネコのお父様には


「ちょっとお話ししたいことがあるので、お勉強はお休みさせていただいて宜しいですか?」


と電話でお伺いしたところ、いつになく他人行儀な私の言葉にあっさりと頷いてくれたみけネコお父様。


お店がはじまる前と言う時間帯。


『いいけど、話って何?まさか倭人が何かやらかした!?その相談!』


電話の向こうであわあわと慌てるみけネコ店長。


何かやらかしたって…


あなた、自分の息子をもっと信用してあげてください。


「いえ、そのようなことは…」


むしろやらかしたのは私の方で…なんて今は言えない。


「お忙しいとは存じますが、少しだけお時間いただけますか?」


キリッ


背筋を伸ばしていつになく真面目に言うと、


『分かったよ~』とまたもあっさり承諾。





通話を切って、


「はぁーーーっ!緊張したっ!!」


ケータイを握り締めて私はお手洗いの洗面所に手をついた。


「てかあんた、まるで結婚の承諾をいただきに行く娘の彼氏みたいだよ?」


と、すぐ隣で涼子が呆れたように吐息をつく。


“まるで”じゃなくて、そのとーりだよ。


「何とでも言ってよ。私は五歳も年下の未成年に手を出したイケナイ女なんだから」


「手を出されたのはあんたの方でしょうが」と涼子はあっさり。


手を出された、とな!


「いやっ!まだ手はっ!!出されてません」


ちょっと“おてつき”ってぐらいかな…


って、こんな大事なときでさえ私のバイオハザードウィルスは空気を読んでくれないし。


こんな調子で私、大丈夫なのかしら。