真正面から黒猫を見て真剣に言うと、黒猫は最初は目をぱちぱちさせながら考えていたようだけど、


やがてテーブルの上に乗った私の手をそっと包んだ。




「朝都がそこまで真剣にそう想ってくれてるなら、そうしよう」




黒いネコなのに、その手は飼い主よりもあったかくて力強くて、守ってあげたいと思うのに、守られて―――


だけど


「それに朝都は俺のカノジョだって言えば、あいつだってちょっかいかけてこないだろうからな。牽制だ」


黒猫はぶつぶつ。


牽制…


黒猫…まだ疑ってるの??


違うと思うけどなぁ。





「朝都は俺だけ飼ってればいーの」




なんてネコみたいな大きな目で上目遣いで真剣に言われたら…


「Yes。そのとーりでございます」


飼い主なのに、小悪魔で自由な飼い猫に完全振り回されてる私。


黒猫は私の手を握ったまま小さく微笑んで


「早く大人になりたいなー」と


またも可愛い一言。


「ちゃんと番ネコできるぐらいに」


「ちゃんと番ネコしてるよ?必要以上に」


ちょっと笑うと黒猫はまたも


「なにそれ」


と笑い返してきた。