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しかし、その日以来…
「で、ここはXをこの式に代入して…」と数式を説明しているときに
バタン!
「ただいま倭人ぉ!&朝都ちゃん♪」
―――またある日は、
「A black cat crossed my path this morning.(今朝、私の目の前を黒猫が横切りました)
この文法は…」
バタンっ!
「朝都ちゃん来てる?ケーキ買ってきたんだ~」
―――またまたある日
「この例題はセンター試験に出やすいから、化学式を丸覚えすればいいよ」
バタンっっっ!!
「朝都ちゃん!♪」
………
そうなのです。
ことあるごとにみけネコお父様が乱入(?)
「いい加減にしろ!こっちは真面目に勉強してんだよ!」
黒猫が怒ってみけネコお父様を追い出すも、
「倭人が真面目??家庭教師クラッシャーのくせして!
今度は何を企んでるっ!」
とドアの外で喚いているみけネコお父様。
「何も企んでなんかいねぇよ。
ってかあんたと違って俺は真面目なんだ!息子を信用しろっ!」
と返すも、
「朝都ちゃん倭人にわるさされないように気をつけてっ!」
わるさ……
黒猫も前にそんなこと言ってたような…
中身は似てなくても、やっぱ親子だな。
「わるさ……したくても親父のせいでできる状況じゃねぇっつの」
黒猫がぽつりと呟いて、私は目をぱちぱち。
「わるさ!したかったの??」
小声で聞くと、
「そりゃ、まーね……
だって男の子だもん」
黒猫は頬杖をついて流し目で私を見ると、にやりと口の端を上げた。
私の飼い猫は普段は可愛い子猫なのに、ときどきドキリとさせられるほど大人な“男”の色気を漂わす。
自由で気ままで、ツンデレで…
でも、どうしようもなく可愛いのだ。
「倭人~!!朝都ちゃんっ!」
イケナイレッスンを咎めるような、みけネコお父様の声が聞こえてきて、
私たちは顔を見合わせて、二人して盛大にため息を吐いた。



