手を繋ぎながら二人して夜の街を歩く。
私はただいま飼い猫と夜のお散歩中♪
変な人に絡まれても今なら大丈夫よ??番ネコが追っ払ってくれるから。
「てかあんたも心配性ねー。誰も好き好んで私なんか選ばないよ」
そう言って笑うと、
黒猫は何か言い返したそうに私を見下ろしてきたけど、結局何も言わずに口をつぐんだ。
手は繋いだままだけど、顔を逸らしてつんとそっぽを向いている。
何??私また何かやらかした?
「ねぇ黒猫」
気になって聞いてみたけど、黒猫はつんと顔を逸らしたまま例の如く私の問いかけに無視。
何なの、さっきは大人の男みたいにスマートに誘ってきて、
お父様には分けのわからないヤキモチ妬いて、
そんでもって不機嫌?
黒猫はやっぱりネコ。全く予想できないんだもん。
不思議に思って黒猫の横顔を眺めていると、黒猫は近くを通り過ぎた女の人……
じゃなくて、その人の飼い犬をじっと見つめていた。
元気のいい柴犬で、可愛い飼い主(若い女の人)のリードをぐいぐい引っ張って走っている。
黒猫もやんちゃだけど、ここまで元気がないしなぁ。
気まぐれだし。
なんて考えてると、
「こら、ポチ!待ってよ」女の人が柴犬の名前を呼んでリードを引っ張り、ポチ(柴犬)はイタズラっぽく舌を出してご主人さまを振り返った。
黒猫はそのポチをじっと見つめている。
あ
そっか
そゆうことね。
「倭人」
私は黒猫の手をちょっと引くと
「何?」
黒猫が僅かに振り返り、ちょっとはにかんだような笑顔を浮かべた。



