三杯ほどワインをいただいて、おなかもいっぱいほろ酔いと言うことでおいとますることに。
「もう遅いし送っていくよ♪」
みけネコお父様が申し出てくれたけど、
「いえ、大丈夫です。まだ時間も早いし」とお断りをした。
時計は夜の9時を指し示している。
電車もたくさん通ってる時間だし。
前はお店で終電逃したときとか、よく車やタクシーで送ってくれたからみけネコ店長と二人きりと言う状況は苦痛じゃないけど。
“彼氏のお父様”と二人きりはキマヅイ。(向こうは知らないケド)
でも
「女の子が一人で危ないよ~。大人しく送られなさい」
みけネコお父様はどこまでも親切。
「俺が送ってく。親父は後片付けでもしてれば?」
とみけネコお父様が腰を上げるより早く、黒猫が立ち上がった。
助かった。と私はほっ。
「あ、じゃぁ倭人くんにお願いしよっかな…」言いかけたけれど、
「電車よりタクシーの方が早いし安全だ。
私が送って行くよ」
腕組みをしたみけネコお父様はいつになく真面目に声を低めて、
私と黒猫は揃ってみけネコお父様を見た。
一瞬―――私たちの関係を疑っているのかと思ったけれど、口元に浮かんだ淡い笑みと、意味深に細めた目が
そうじゃないって物語っていた。
「あ…えっと」
どうすればいいのか分からず、薄手のコートを手にしたまま私だけがあたふた。
だけどすぐ隣まで来ていた黒猫が、いつになく乱暴にぐいと私の腕を引っ張り、
「いいって。
朝都は俺が送ってく」
そう言って強引に手を引かれた。



