「ほら、こいつ冷たい上にそっけないでしょ?愛想もないし。
それでね」
とみけネコお父様は自分の息子をまるで他人かのように言って笑う。
そっけない…愛想ない……ってのは、まぁ頷けるケド。
私も最初は、全然懐かない黒猫に嫌われてるのかと思ってたし。
でも距離を縮めて―――
黒猫がたまに見せる笑顔の可愛さとか、無邪気さとか、優しさとか―――
いっぱい知った。
警戒心が強いだけで、気を許した相手にはとことん素直な子なのだ。
「く…や、倭人くんは、たぶん不器用なだけだと思います。
ホントは心優しくて素直で。
私の教え方に文句一つ言わないし、理解しようといつも一生懸命です。
ただ、その熱意の伝え方が下手なだけなんだと私は思います」
私がみけネコお父様を真正面から見て伝えると、みけネコお父様は目をぱちぱち。
向かい側に座った黒猫も目を開いて私を見ていたけれど、またも頬に赤い色を浮かべてグラスに口を付けるとそっぽを向いた。
あ、照れてる……
「そっか~♪そう言ってくれると僕も嬉しいよ~♪やっぱり朝都ちゃんを選んで良かった」
みけネコお父様は人懐っこそうににこにこ。
「てか俺がそっけないのはいい歳してチャラい親父を反面教師として育ったせいだ。
こんな大人にはなりたくない」
黒猫はきっぱりばっさり。
まぁ確かに…軽いケド。
「酷いな倭人。実の親に向かって言うこと??」みけネコ店長はしくしくと泣き真似をして
反面教師……
黒猫、あんたそれ正解かもね、とちょっと思ってしまった。



