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「はぁ~酔っぱらったぁ」
久しぶりにこんなに飲んだ。
「ビール五杯に、熱燗五本もあけるからだよ」
と涼子が呆れたように吐息をつく。
「てかお前って顔は童顔で結構可愛いのに、中身ホントおっさんだよな」
と浩一も笑う。
悪かったわね、おっさんで。
それにこの童顔は私のコンプレックスでもある。未だに高校生と間違われるし。
きれいで大人っぽい涼子に憧れる。
「俺は結構好きだけど。そゆうとこ。
ギャップ萌え??」
浩一が私の隣でぽつりと漏らし、
「は?」私は思わず聞き返した。
その節によろけて、体が傾く。
「わっ」
「おいっ。大丈夫かよー、お前帰れるの?」
浩一は力強く私の腕を引きその瞬間、浩一の愛用している香水に混じってタバコの香りが香ってきた。
黒猫にない―――大人の男の香りだった。



