黒猫がきゅっと手を握り返してくる。
制服のカーディガンの袖からちょっと出た指先とか、可愛い…じゃなくて…
「今すっげぇ朝都を、ぎゅーしたい」
顔を僅かに赤く染めて黒猫がこつんとまたも額を合わせてくる。
“ぎゅ~”って!それって抱っこってこと!?
何て答えていいか分からずにあたふたとしていると、
「ぎゅ~」黒猫が呟いてあたしをぎゅっと抱きしめてきた。
こら。せんせーまだしていいって答えてないぞ?
フライング倭人め。
でも
黒猫の香りはやっぱり爽やかな柔軟剤と―――お日さまの匂い……無邪気な少年の香りに私の心臓がキュっとなる。
黒猫は甘えてくるように、ふわふわの頭を私の頬にすりすり。
本当のネコみたいな可愛い仕草だったけれど、
私をぎゅっと抱きしめてくる腕は
女とは骨格も筋肉のつき方も違う、“男”の感触がした。
黒猫は照れくさそうにして、ゆっくりと離れて、またも恥ずかしそうに顔を逸らす。
一瞬のハグは終わっちゃった。
ちょっと寂しいな…
「これで大丈夫かな」
黒猫はちょっと考えるようにして目を細めると、じっと私を見つめてくる。
じー…
な、何が大丈夫だって言うの。
真正面から見つめられて私の心臓が変な風にドキドキ高鳴った。
「な…何??」
「マーキング?
朝都に他のネコ(男)が近付いてきても、
俺のだからって」
ま、マーキング…
「俺のだから」
もう一度念押しするように言って、
でも今度は頬に僅かばかり薄桃色を浮かべてまたもぷいと顔を逸らす黒猫。
「ホントのネコみたいに匂い移すことができたらいーのになー。
朝都が俺に染まっちゃえばいいのに」
もう…あんた色に染まってるよ。
ちくしょう。
あんたは何でそんなに
可愛いんだ。
こんな風に可愛く束縛されたら「もっと束縛して」なんて……
またも私のバイオハザード変態ウィルスのヤツが!!
心臓がキュンキュン…いや、もうギュンギュンして息苦しいんですケド。



