黒猫……どうしちゃったの?
わけも分からず黒猫を見ると、黒猫は私の視線から逃げるように、益々顔を腕に埋めて背を丸めた。
さっきまでは元気そうだったのに、具合でも悪くなっちゃったのかな。
「…どうしたの?」
心配になって聞いてみると、黒猫は腕の間からちらっとこっちを窺う様に前髪の隙間から目をあげた。
「ごめん。くだらないヤキモチ…」
へ…ヤキモチ―――??
浩一に?
「掛けてもいーよ。俺、ベランダに出てるから。緊急の用事だったら大変だし」
黒猫が顔を俯かせて席を立ち上がる。
不機嫌そうには見えなかったけれど、ちょっと顔に翳りを滲ませていて、
あたしは立ち上がってベランダに向かおうとする黒猫の手を思わず握った。
黒猫がびっくりしたように目をまばたいて、振り返る。
「今、私の隣にはあんたが居る。
私は今あんたとの時間を共有してるの。だから今は掛けない。
だから座って?」
目を上げて真剣な顔で言うと、黒猫は大きな目をぱちぱちさせた。
「そ、それに浩一は単なる友達。入学したときの知り合いだから腐れ縁ってダケ。
あんたがヤキモチ妬く関係じゃないから。
私の彼氏はあんた……倭人だから―――
し、心配しなくてもいいよ?」
ぅわ
言ってて凄い恥ずかしい!
ケド、今伝えないと、ちゃんと向き合わないと、
倭人は私の大切な人だから―――
黒猫がちょっと口元を緩めてくしゃりと笑った。
「何それ」
眉を寄せながらも口元には笑顔。
「何それ。何かふいうちっての?」



