黒猫は数分で帰ってきた。
「ん」
と一言言って突き出してきたのは、アイスのカップだった。
アイスクリーム…?これで頭を冷やす…と。
考え方が可愛いな。
「…ありがと」
素直に受け取ろうとすると、黒猫が私のカップをしっかりと握らせて私の手の上から包み込むように握ってきた。
じかに触れる黒猫の体温。あったかい。
ドキっとして思わず目をまばたくと、
「こうやってさ、少し溶かして食った方がうまいよ」
「え…うん……」
黒猫がちょっと顔を赤くして手を離す。
あ…離れていっちゃった。
もっとぎゅっと握って、アイスクリームが完全に溶けるように
見も心もトロトロに溶かして欲しい。
ヤバい。
バイオハザード変態ウィルスは今日も元気いっぱいだ。
「朝都が悪い」
急に名前を呼ばれてドキ。さっきまで“先生”だったのに。
急に生徒から男に変化を遂げる黒猫。
「ど、どうして私が悪いのよ!」
わけが分からずムッとなって目を吊り上げると、
「そんな可愛いかっこしてくるからだろ。バーカ。
このストロベリーアイスみたいな甘いかっこしやがって。
年頃の男子高生を誘惑すな。バカ」
黒猫はちょっと赤くなった顔を背けてそっぽを向く。
あ、照れてる。
ってかあんた…年上のお姉さまに向かって何気にバカを二回言ったわね。
でも
可愛いって言ってくれた。
すごく、凄く―――嬉しいよ。



