駅までの帰り道、遅い時間帯だと言うのに制服で普通にうろうろしている男女が意外にも多いことに気付いた。


てか目に付いたっていうのか。


前なら視界に入れてもなんとも思わなかったのに。


そういえば黒猫も夜遊びしてたな。


て言ってもお酒やタバコはやらないし、危ないお店に出入りしてるわけでもなさそうだった。


ただ、ふらふらっと夜の街を散歩するかのように歩き回ってただけ。


夜の街を徘徊する黒いネコ。


ホント、ネコだな。


最近はそれも少なくなったみたいだけど。


「野良猫が飼い猫になったから、家の方が居心地いいのかしらね」


「家じゃなくて飼い主がいいんでしょ。帰ってこなくて心配させたくないんじゃない?」


涼子がからかうように笑う。





「あんたも変わったし。


誰かに影響されて変われるって―――凄いことじゃない?」





涼子が伸びをしてのんびり言う。


「まぁ私は変わったかな……おっさん要素に加えて、最近では変態要素が多くなってる」





「そうゆう意味じゃなくて~


朝都、最近キラキラしてる、ってこと」






な……!キラキラとな!!?


「涼子こそ大丈夫?育ててる朝顔ばかり相手にしてるからおかしくなっちゃったんじゃないの?私のこと言えないわよ?」


私が心配そうに聞くと、


「さっきさ、何とも思わないって言ったけど、あれ……嘘。


おかしくなっちゃったかも私……溝口さんのせーだ」


涼子は顔を伏せてぽつりと呟いた。




おかしくないよ。涼子。



誰だって意識してなかった人が急に心に入り込んできたら、動揺して戸惑うのは当たり前だよ。






私だってそうだった―――…




戸惑ったけど、黒猫の一挙一動にドキドキしたり、楽しかったり寂しくなったり…



私が変わったように、



涼子も―――……変わろうとしている。




私も



黒猫も





でも黒猫の成長は、私たちよりずっと早く



めまぐるしいんだろうな。




それが思春期ってモノだ。